お母さんのアルバム

 
母が倒れ入院が決まった。
まだまだ元気だと思っていたので母も年をとったとあらためて気づく。
 
母に頼まれ手荷物を取りに実家へ、終活を考えていたのだろうか部屋はきれいに片付いている。
 
病室に持ち込む母の荷物はとても少なくて、下着と写真アルバムだけでいいという。
 
「ほら、テレビもベットもあるし、着替えは洗ってくれるから」母は言う。
 
病室に戻り写真アルバムの箱を受け取って母は早速アルバムを見る。
 
「ほら、あなたが生まれた頃の写真」
 
百日記念、一歳記念、七五三、入園、入学、成人記念まで貼ってあるアルバム。
 
貼ってあるのはここまで、
 
婚礼の写真は台紙に入っている。
 
そしてわたしの息子の小さい頃の写真、懐かしい、大事にしてくれてたんだ。
 
その息子ももうすっかり大人になって自立している。
 
母はわたしにこう続ける「ほらこれは七五三の時、着物を着るのを嫌がって・・・」
 
アルバムを開くたび何度も聞いた話だ。
 
 
 
そして、しばらくして母は旅立った。
 
残された1冊の写真アルバム。
 
大切に箱にしまってあるが、角はすり切れテープで留めてあるし
 
アルバムもすり切れて手の跡がついている。
 
きっと何度も何度も見たのだろう。
 
 
母がこんなに写真が好きだったとは、
 
ふいに涙がこぼれて止まらなくなった。
 
もっと息子の写真をあげればよかった。
 
もっとはなしをすればよかった。
 
母は最後の最後までわたしの心配をし、ずっとずっと愛してくれていた。
 
 
今、母の大切にしていた写真アルバムはわたしの手元にやってきた。
 
写真の中の幼いわたしを抱いた若い母はいつでもほほえんでいる。
 


定休日 火曜日・水曜日(祝日の場合営業していることもあります)
ひとりひとりの想い出づくりを大切にしていますので予約制となっております。
お電話、メール、LINEで撮影内容と撮影希望日時をお伝えくださいませ。